研究課題/領域番号 |
11793006
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研究種目 |
地域連携推進研究費
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
反応・分離工学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
加藤 敬一 愛媛大学, 工学部, 助教授 (10117088)
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研究分担者 |
平家 勇司 国立病院四国がんセンター, ガン遺伝子研究室, 室長
川久保 明宏 ヤマキ株式会社, 研究開発室, 主任
菅原 卓也 愛媛大学, 農学部, 助手 (00263963)
鈴木 洋司 愛媛大学, 医学部, 助手 (20226567)
立石 憲彦 愛媛大学, 医学部, 助教授 (90236555)
佐伯 俊昭 国立病院四国がんセンターガン遺伝子研究室, 室長
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
2001年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 癌治療 / 癌細胞 / リポソーム / 脂質ベシクル / イムノベシクル / DDS / 海藻レクチン / 遺伝子導入 / 糖鎖 / ハイブリドーマ |
研究概要 |
目的 癌細胞への"ミサイル装置"として、癌細胞の特異抗原としての糖鎖を認識するESA(トゲキリンサイ海藻由来のレクチン)を装着した人工細胞(脂質ベシクル)を創製し、DDS(Drug Delivery System)の薬物キャリアに使用して、癌治療に役立てることを目的とした。また、もう一つの"ミサイル装置"としての抗体(癌細胞の特異抗原を認識する抗体)をベシクル表面に固定化したイムノベシクルも調製する。こうして、このイムノベシクルに癌細胞標的機能およびその癌細胞への遺伝子導入機能を付与して、癌治療に役立てることを目的とした。 結果 使用した細胞は、正常細胞モデルとしてMCF10-2A(乳腺細胞)、Fibrobrast(へその緒由来の繊維芽細胞)を、癌細胞としてMCF7(乳線癌細胞)、colo201(大腸癌細胞)、ヒトハイブリドーマ(HB4C5)を用いた。まず、ESAの癌細胞に対する影響を調べた。その結果、(1)ESAは細胞表面のハイマンノースの構造を認識して結合し、(2)正常細胞への結合は弱く、癌細胞に対して(特にcolo201)強く特異結合すること、また(3)その結合によって癌細胞のアポトーシスが発現することなどが判明した。このESAを、Span80を主成分とする脂質ベシクルに固定化して、癌細胞へのターゲッティングを主目的とする種々の実験的検討を行った。その結果、このESA固定化ベシクルは、フリーのESAと同様、癌細胞に対して特異的に結合し、アポトーシスを誘引することが判明した。このESA固定化ベシクルをラットに投与して検討した結果、ESA特異抗体が若干発現するものの、どのラットも体重減少も無く約5週間健康に生存し、このベシクルの安全性が確認された。さらにcolo201を植え付けた担癌ヌードマウスに、ESA固定化ベシクルを打ち込み、DDS実験のin vivo実験を行った。その結果、抗腫瘍増殖抗果が確認され、ESA固定化ベシクルを用いたヒト大腸癌治療の道が拓けた。 次に、細胞特有の抗原を特異認識する抗体を、Span80主成分の脂質ベシクル表面に固定化した。この抗体固定化ベシクルは、Span80中にカチオンペプチド脂質(CPL)を混合させた、いわゆるカチオン性イムノベシクルである。例えば抗IgM抗体を固定化したカチオン性イムノベシクルは、IgMを産生するHB4C5に対し、標的的に結合し、ベシクル内に包括した遺伝子をHB4C5内に導入することが出来た。 こうして、上記のESA固定化ベシクルやイムノベシクルがDDSや遺伝子導入に利用できて、癌治療に貢献できる道が拓けた。
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