研究課題/領域番号 |
11793007
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研究種目 |
地域連携推進研究費
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物・生体工学
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研究機関 | 広島県立大学 |
研究代表者 |
宇田 泰三 広島県立大学, 生物資源学部, 教授 (20232837)
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研究分担者 |
藤井 亮治 (株)福山臨床検査センター, 研究部, 部長
一二三 恵美 広島県立大学, 生物資源学部, 助手 (90254606)
江頭 直義 広島県立大学, 生物資源学部, 教授 (90094060)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2001年度: 14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
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キーワード | 抗体酵素 / バイオセンサ / 電極 / 遺伝子 / タンパク / 抗原 / germline / 基質 / gremline |
研究概要 |
1)数十の抗体遺伝子の解析と、その抗体サブユニットの酵素的反応性を徹底的に調べた。その結果、酵素活性を示した抗体には触媒三ツ組残基様構造があるという特徴が認められたことから、この構造を有する抗体の割合を検索した。PDBに登録されているモノクローナル抗体、および我々の所有するモノクローナル抗体、計91株について可変領域の立体構造を解析したところ、約30%もの割合で触媒三ツ組残基様構造が認められた。これは、遺伝子レベルで酵素活性が用意された抗体の存在を示唆する重要な知見である。これを検証する目的で、立体構造解析の結果から触媒三ツ組残基様構造を持つと推定されたモノクローナル抗体について酵素活性の有無を検討し結果、いくつかの抗体においてペプチダーゼ活性が認められ、触媒三ツ組残基様構造と酵素活性の関係を裏付ける結果となった。 2)3年間研究でいくつかの新しい天然型抗体酵素(「スーパー抗体酵素」はこの中に含まれる)を見出す事ができた。i41SL1-2抗体L鎖およびi41SL1-2抗体H鎖は、共に、短い「誘導期」とこれに続く活性期の二相性を示しながら抗原ペプチドを分解しており、中間分解産物を解析した結果、セリンプロテアーゼと同様の挙動を示した。trypsinと比較すると、親和性においてはtrypsinより高い値を示し、kcatは逆に低い値を示した。触媒効率(kcat/Km値)はほぼ同様であった。即ち、抗原認識において天然型抗体酵素は抗体の性質をそのまま残し、ゆっくりと抗原を分解しており抗体と酵素の中間に位置する分子であることが判った。i41-7抗体L鎖は各種の短鎖ペプチドをほぼ完全に分解し、しかも、抗原タンパク質をある程度特異的に分解し、また、一般的なペプチドを非特異的に分解する新たな天然型抗体酵素である事が判明した。 3)Ru錯体がアミノ酸やペプチドと反応する事により発光する現象を利用した新しいセンシングシステムを構築している段階であるが、抗原や抗体の検出に応用するための適切な電極と測定の最適条件を探索した。その結果、電極にはAuが最適であり、これを使ってペプチドが10^<-6>/Mの感度で検出できる事が判った。また、N末にプロリンを付加することによりセンサとしての実用化が現実的になった。
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