| 研究概要 |
本研究課題では,高性能分離分析法であるキャピラリー電気泳動(CE)を中核とした環境汚染物質の高感度迅速分離検出システムの構築を目指し,主にオンライン試料濃縮を適用したミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)による各種試料の高感度分離検出と,質量分析法(MS)による高性能検出の実現について検討を行った。
1.モデル化合物としてダイオキシン類,フタル酸ジアルキルエステル類,芳香族アミン類,キラルな農薬成分等を選定し,オンライン試料濃縮MEKCによる分離検出条件の最適化を試みた。試料によって検出感度は異なるが,従来法と比較して,数十倍から数千倍の感度向上を達成した。
2.大気圧化学イオン化(APCI)MSをMEKCの検出器として用いるMEKC-APCI-MSの基礎研究を行い,オンライン試料濃縮法と組み合わせることにより,フタル酸ジアルキルエステル類を中心にエレクトロスプレーイオン化(ESI)では検出困難であった試料の検出を可能とし,また検出感度を通常のMEKC-APCI-MSに比べて数百倍向上させることに成功した。
3.MEKCの擬似固定相に合成した高分子量界面活性剤を利用し,有機溶媒を高濃度に添加した分離溶液を用いて多環式芳香族炭化水素類の分離を達成した。
4.マイクロチップ電気泳動(MCE)を利用して,オンライン試料濃縮法の一つであるスウィーピング法の濃縮過程を観測することに成功し,その濃縮機構を明らかにした。
5.MCEの検出器にMSを利用するMCE-MSについての基礎検討を行った。イオン化法にはESIを利用した。マイクロチップ端面に短いキャピラリーを接続することで安定なESIを達成し,MS検出が可能であることを見出した。
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