研究課題
地域連携推進研究費
脳卒中患者への救急医療がスムーズに行えるよう名古屋大学医学部脳神経外科が中心となり名古屋大学医療情報部及び愛知県医師会と脳卒中専門病院とを相互に結びつける地域医療情報ネットワークを構築した。具体的には名古屋大学を中心に愛知県医師会と愛知県内の11病院をイントラネットで接続した(基本はISDN1〜4回線)。構築したネットワークを利用して患者基本情報(文字情報)とCTやMRI等の静止画像の伝送を行った。伝送された静止画像は専門医が十分読影できる画質であることがわかった。一方で3D-CT、3Dアンギオ、血管造影等の動画伝送に必要なシステム環境を検討した。また救急患者に対する治療成績の評価に関わる統計処理ソフトを開発し、ブラウザ上での起動を確認した。その後、実際の救急医療現場での使用を試みた。平成12年度には登録症例数2989症例、画像伝送件数240件、コンサルティング件数69件の運用実績を上げた。従来の遠隔地医療情報ネットワークは「医療」とはいうものの、診断支援に留まっていた。一方、本研究で構築したネットワークは診断のみならず、治療支援も可能にした。登録症例の中には、一刻を争う脳卒中救急医療において本ネットワークが極めて効率よく機能し、脳卒中患者の救命に役立ったケースも数多く見られた。このように本研究を通して愛知県脳卒中救急患者医療支援システムの構築基盤を生み出すことができた。また、今後、本ネットワークを一般病院、診療所、さらには在宅へと広げていくための基盤作りも同時に行えた。今後は、本ネットワークを基盤に地域に密着した総合的医療情報ネットワークの開発を押し進めていく予定である。
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