研究概要 |
本調査研究は,アジア太平洋地域諸国が国内情報基盤整備のための情報化促進方策を策定し,特にネットワーク資源(ディジタルコンテンツ)の開発によって,情報のアクセスを容易にし,また国際的な情報発信に積極的に参画するために必要な調査,研究を行うことを目的としている。 はじめに国際ワークショップ(平成11年11月2日〜4日,東京)を開催し,パプアニューギニア,フィリピン,ヴェトナム,モンゴル,ラオス及び中国の情報基盤整備の現状について検討を行い,またヨーロッパ連合,英国,インドを中心とする南アジアにおけるディジタルコンテンツ開発に関する政策及び現状についてレビューを行った。次いでこのワークショップにおいて策定されたコンテンツ開発のための指針(予備版)をもとにチェックリストを作成し,これを用いてコンテンツ開発プロジェクトの形成,実施のためのメカニズム,主題領域,コンテンツのタイプ,作成者,利用者グループ,法的な枠組み等について,平成11年度にヴェトナムとフィリピン,平成12年度にインドネシアと韓国においてディジタルコンテンツ開発の現状に関する現地調査を行った。さらにこれらの訪問調査の結果を基に,地域内のディジタルコンテンツ開発についてのcross country analytical reportを作成した。このような現地調査・分析をもとに,地域内外の専門家を招聘して専門家会議(平成13年3月26日〜28日,東京)を開催した。この専門家会議では中国,韓国,インドネシア,パプアニューギニア,イラン,ヴェトナム,フィリピンから共同研究者を招聘して,各国におけるコンテンツ開発の現状や政策について,法制度の枠組み,人材の供給,コンテンツの流通,アクセスのための信頼性のある通信網の有無,コンテンツ市場・要求のレベル,文化・言語に関わる障害,公共・民間セクターの協力,既存のコンテンツ産業等の面から検討を行うとともに,ヨーロッパ連合,ユネスコのコンテンツ開発に関する政策・方針ならびに現況についてレビューを行った。専門家会議での検討の結果,地域内諸国のコンテンツ開発に影響を与えるファクターとして考慮されるべき七項目の要因が明らかになった。今後は,これらのファクターについてin-depth case studyを行うことが必要であると考える。
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