研究課題/領域番号 |
11800012
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研究種目 |
特別研究促進費
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
家村 浩和 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10026362)
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研究分担者 |
佐藤 忠信 京都大学, 防災研究所, 教授 (00027294)
塩原 等 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50272365)
大槻 憲四郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70004497)
室崎 益輝 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (90026261)
大町 達夫 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教授 (90126269)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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キーワード | 921集集地震 / プレート境界 / 直下地震 / 強震記録 / 建物被害 / 橋梁被害 / ライフライン被害 / 都市災害 |
研究概要 |
本調査研究は、全国7大学より15名の研究者が参加して、地震直後の10月初旬から12月にわたって、現地調査および資料収集等によって実施された。本調査研究により明らかとなった1999年台湾921集集地震の問題点や教訓は以下の通りである。 1)今回の地震は、ユーラシアプレートがフィリピン海プレートの下側に西側方向より沈み込んでいる境界で発生したものである。地表面の食い違い量は場所によって異なるが、上下方向に10m近く、水平方向に数mの所も見られる。 この種の地震は、日本の首都圏においてもいずれは経験しなければならないもので、今後地震のメカニズムなどの詳細な検討が必要である。 2)台湾では既に地震前に約700台の強震計のネットワークを完成してきている。 震央付近では、900ガルcm/sec^2を越える極めて高い記録が得られている。さらに断層破壊が北上した終点付近では、加速度記録の積分より算出した速度が300カインcm/secを越えている。日本の長大構造物の安全性にとって驚異ともなる記録も存在しており、今後さらに詳細な調査が必要である。 3)断層の東側、すなわち上盤側での被害の程度が高かった。特に上盤側の中小都市における10-15階建のマンション倒壊が注目された。地震入力が大きかったことは当然であるが、特に1階部の柱の崩壊による倒壊が多数あったことから、構造設計上の配慮が必要になるものと考えられる。 断層直上の建物の被害はやむをえないが、その地主は自分の土地をも失ったことになり、被害の程度はより一層深刻である。断層より10m程度隔たった建物にはほとんど被害が見られなかった点も特に注目される。 4)交通施設(道路橋や鉄道橋あるいは鉄道トンネル)の被害の大半は、断層を横切る地点において発生した。断層食い違いに対してどのような対策が考え得るのか、今後検討の余地がある。特に、地震前に断層の位置や食い違い量を特定できるのかなど、問題点は大きい。 5)コンクリートダムが断層直上で崩壊した事例は初めてであり、その被害の甚大性に鑑み、建設前に断層を特定できなかったのかなど今後十分な調査をする必要がある。 6)変電所や開閉所の破損により、台湾全土にわたって停電あるいは供給制限などの機能的被害が発生した。供給ルートの多重化など、機能維持にための手法を開発する必要がある。 7)被災対応およびボランティアの活動には神戸の経験が活かされた。事前の対策や準備に十分配慮すべきである。
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