研究課題/領域番号 |
11800014
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研究種目 |
特別研究促進費
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桂 順治 京都大学, 防災研究所, 教授 (20034340)
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研究分担者 |
早川 誠而 山口大学, 農学部, 教授 (80038299)
滝川 清 熊本大学, 工学部, 教授 (80040450)
植田 洋匡 京都大学, 防災研究所, 教授 (70026186)
前田 潤滋 (前田 潤磁) 九州大学, 工学部, 教授 (40128088)
入江 功 (入江 巧) 九州大学, 工学部, 教授 (10213258)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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キーワード | 台風 / 高潮 / 竜巻 / 海岸線改変 / マルチセル型雷雨 / 乾燥貫入 / 台風9918 / 強風 |
研究概要 |
平成11年9月、我が国を襲った台風18号では、熊本(牛深測候所)で最大瞬間風速66.2m/sを記録し、強風による家屋の全・半壊は、1,300戸、部分損壊を含めると3万戸以上にのぼった。この台風の特徴は、強風によって高潮が発生し、八代海の沿岸に死者12名を含む甚大な被害をもたらしたこと、また、竜巻が豊橋市とその周辺で発生し、300人以上の児童に重軽傷(その後、死者1名)を負わせたことである。本研究では、この台風に伴って発生した高潮と竜巻について、その生成、発達のメカニズムと、強風による被害の発生機構の解明を目的とした。 まず、台風の時間的な挙動と内部構造、さらには八代海の海面上強風分布、台風などに起因して豊橋付近で発達した積乱雲、雷雨の詳細を、気象数値モデルを用いて再現することに成功した。 さらに、高潮については、水深が浅く総面積が700km^2にも達する八代海の特徴が、同地域に頻発する高潮の発達にどのように寄与しているのかを中心に調べた。本研究では、今回の台風と同じコースをとった台風9119号の場合との比較を行うとともに、浅海域での波浪と高潮の相互作用に着目して、高潮・波浪結合数値モデルによる解析を行い、強い台風が八代海の高潮に対して最悪のコースを採り、秋の大潮のほぼ満潮に重なって高潮を発生させたが、当時に干拓等による八代海最奥部の狭小化も大きな要因であることを示した。すなわち、流送土砂および埋め立てによる海底地形や海岸線の変化等が高潮の誘因になっていることを示した。 竜巻については、上記数値シミュレーションから、台風に伴う高湿潤気流の流入と、これに隣接した乾燥空気の貫入が、積乱雲と雷雨を発生、強化を担っていたこと、それに伴って竜巻が起きる可能性が高いことを示した。実際、台風18号接近時にその進行方向右側前方象限に強いレインバンドが形成されていた。我が国では、竜巻の予報体制さえ整っていないのが現状であるが、本研究で台風の接近時の竜巻発生の予測の可能性が示された。
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