研究課題/領域番号 |
11833014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
近 雅博 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (00211912)
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研究分担者 |
荒谷 邦雄 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (10263138)
KUNIO Araya Graduate School of Social and Cultural Studies, Kyushu University, Associate Professor
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | クロムツヤシ科 / 系統解析 / 生息場所 / 形態学 / 進化 / クロツヤムシ科 / 16srRNA / 新熱帯区 / 東洋区 / 生物地理学 |
研究概要 |
クロツヤムシ科では生息場所のわかっているほとんどの種は木部や樹皮下にコロニーを形成する食材性であり、それ以外の倒木の接地面、着生シダの根茎の腐植中、シロアリの放棄したコロニーの泥の中など土状の生息場所で腐植的食物を利用するタイプの種は食材性のものから派生したものと考えられる。また土状の生息場所に住むことが確認されている種をふくむツツクロツヤムシ亜科のTaeniocerus属と(Ceracupes属のすべての種は食材性のものより顕著に幅の広い前肢脛節をもっている。それゆえ、この2属にみられる幅の広い前肢脛節は土状の生息場所に進出するのにともなって進化したものと考えられる。まずこの仮説をツツクロツヤムシ亜科の5属11種と外群としてのクロツヤムシ亜科の複数種について形態にもとづく系統解析をおこない、その結果にもとづく仮想的祖先種の形質状態の最節約的復元によって検討した。その結果、土状の生息場所と幅の広い前肢脛節の進化はCeracupes属とTaeniocerus属の祖先で独立におこったということが推測された。 クロツヤムシ亜科のAceraius属は種数と個体数両面で東洋区でもっとも繁栄しているグループである。Aceraius属の多くの種は辺材・心材部に穿孔し大きくて厚い体をもっている。しかし、この中にも樹皮下に棲み体がより偏平な種がいることも知られている。さらAceraius属とその近縁属のMacrolinus属およびOphrygonius属の中にもそれぞれ辺材・心材部に生息する種と樹皮下に生息する種のあることが知られている。そこで、Aceraius属、Macrolinus属およびOphrygonius属のそれぞれの属内での、体の厚みと微小生息場所の進化パターンの関係を検討した。その結果、3属それぞれの中で樹皮下に生息する種は辺材・心材部に生息する種より扁平な体をしていることが見い出された。この結果は、3属がそれぞれ単系統群であるとすると、それぞれの属内で生息場所の変化に対応して体の厚みの進化的変化がおこったことを示唆している。ただし、これら3属の単系統性の検討と、樹皮下に住む平たい種と辺材・心材部に住むより厚い種のどちらがより祖先的か知るために3属とその外群についての系統解析が今後必要である。
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