研究概要 |
1.平成14年3月で整形外科的手術の術前術後の脳性麻痺児のデータの収集は終わった.最終的に25名の脳性麻痺児(GMFCS lelvel I 6名、level II 3名、level III 7名、level IV 9名)のデータが集まり、その経過の分析を行った. 2.その結果、術後の改善率(術後の6ヶ月以降のデータの平均-術前のデータの平均)は、Group A(GMFCS level I, II),Group B(GMFCS level III),Group C(GMF level IV)の順に1.9,7.2,7.7となり、GMFMのスコア上は、より重症であるレベルIIIおよびIVの症例の方が、整形外科手術による改善率が高いことがあきらかになった. 3.術後の機能低下は、Group A, B, Cの順に21,6,0となり、GMFCSレベルI, IIの症例で、機能低下の幅が大きかった.しかし、これらの症例でも術後4〜6ヶ月の段階で、術前と大差ない機能レベルまで回復している.また最終的に術前と比べて、機能が低下した症例は存在しなかった. 4.整形外科手術のimpactにより、術後の機能回復が遅れたり、最終的に機能低下を残すような症例が存在せず.また最終的な治療成績も、選択的後根切断術や、ボツリヌス菌毒素の注入よりも優れていることから、日本で考案された整形外科手術の優秀さが証明された.今後は、治療手技を世界に普及していく必要があると考えられる.以上を平成14年11月、小児整形外科学会(福岡)で発表した. 5.本研究の基盤となった尺度であるGMFCSの信頼性・内容妥当性に関する研究を同時進行で進めた.その結果はKappa=0.66となり、原著者による検討と差がなく、日本での使用に十分耐えうるということとなった.途中経過を英文誌に投稿して平成15年2月に掲載された.最終的な結果は、平成14年10月の日本リハビリテーション医学会地方会(秋田)にて報告している.
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