研究課題/領域番号 |
11835009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉永 勝訓 千葉大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30270870)
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研究分担者 |
村上 正純 千葉大学, 医学部, 助手 (50219903)
山崎 正志 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (50281712)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 脊髄損傷 / 脳由来神経栄養因子(BDNF) / ニューロトロフィン-3(NT-3) / neurotrophin-3(NT-3) |
研究概要 |
(目的)ラット脊髄損傷モデルにおける神経栄養因子の内因性発現の時間的空間的な変化を検討し、その役割について考察する事を目的として研究を行った。 (方法)(1)雄性ウィスター系ラット8週齢を全身麻酔下に第8胸椎椎弓切除し、重錘圧迫法にて30グラム5分間の圧迫を加えて脊髄不全損傷モデルとした。(2)損傷後6時間、24時間、3日、1週、2週、4週で全身麻酔下に損傷部およびその頭尾側の脊髄を摘出し、AGPC法にてTotal RNAを抽出した。(3)競合的RT-PCR法にて脳由来神経栄養因子(BDNF)、およびNeurotrophin-3(NT-3)それぞれのmRNAを半定量し、その変化を検討した。(4)上記と同様の損傷後時間経過にて、潅流固定の後パラフィン切片を作製した。(5)BDNFおよびNT-3それぞれに特異的なcRNAプローブを作製し、in situ hybridization(ISH)を施行した。(6)ISH陽性細胞の種類を同定するため、隣接切片で細胞マーカーの免疫染色を施行した。 (結果)競合的RT-PCR法ではBDNF mRNAは損傷中心付近において損傷後6時間より増加し、24時間でピークとなり、その後漸減したが、2週の時点でも正常脊髄に比してその発現量は多かった。一方NT-3mRNAは損傷部尾側において損傷後3日より増加し、2週でピークとなり、4週でもその発現量は維持されていた。 ISHでは、BDNF mRNA、NT-3 mRNAともにニューロンおよび白質のグリア細胞に陽性シグナルを認めた。隣接切片における細胞マーカーの免疫染色で、白質のISH陽性細胞は、アストロサイトおよびオリゴデンドロサイトであることが示された。 (考察)BDNFは損傷に反応して早期より発現上昇がみられ、脊髄の保護に働いていることが示唆される。 さらに損傷後2週の時点でもグリア細胞における発現が維持されていたことは、脊髄の修復反応にも何らか関与している可能性を思わせる所見である。 一方NT-3は急性期では発現上昇ははっきりせず、損傷後2週でピークとなっていた。しかも損傷中心よりも尾側においてその変化が著明だった。NT-3が急性期における脊髄保護よりはその後に続く修復反応に深く関与していることを示唆する所見と考えられる。 またどちらの因子も白質のオリゴデンドロサイトに発現がみられ、索路の修復あるいは髄鞘化に関与している可能性が示唆された。
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