研究概要 |
本研究は,重度神経筋疾患者(児)に残存する随意的な眼球運動パターンを,非侵襲・非接触で検出可能なインターフェイスを構築し,コミユニケーション手段を支援するための機器開発を目的とした.また,開発機器の臨床試用状況と総合的なコミュニケーション支援方策について検証し,積極的な自立生活の拡大の可能性を引き出すことを最終目標として計画実施した. 昨年度平成11年度までに,1:画像計測記録システムの整備と,患者,健常者の画像データ収集・編集,2:画像の解析と出力信号として有用な輝度情報の検討,3:インターフェイスの設計・作製と検出部の検討,4:頭頚部移動に伴う眼球の適性撮影範囲の捕捉機構を検討,の4つの研究目標にそって進めた.これによって試作検討してきた,CRT蛍光面上の角膜・瞳孔部と強膜部の輝度変位を任意固定したCdSセルで検出できる眼球運動画像検出装置のプロトタイプ(2ch)を完成させた. 最終年度である12年度は,活用利用に協力が得られた重度神経筋疾患患者(患児)を対象とし,コミュニケーション周辺機器の操作性と眼球運動検出システムの臨床場面での有用性と課題について検証し,重度神経筋疾患者のコミュニケーション支援機器導入に際しての課題を考察した. 本プロトタイプの試用を試みた結果,簡易操作と調整によって環境スペースや利用者の負担が少ない活用が可能であった.コミュニケーション支援にかかわる機器としての有用性が期待出来ると判断された. コミュニケーション支援にかかわる機器導入に際しては,機器特性や精度向上などの機器独自の改善点や留意点を考慮したプログラム策定が重要であり,病院内及び施設内利用に限定された支援機器の開発だけでなく,在宅生活を含めたできる限り拡大したADL自立支援と,在宅生活を支える家族の介護負担を軽減するための支援機器の開発を目指していく必要性があると判断された.
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