研究課題/領域番号 |
11835027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田中 敏明 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教授 (40248670)
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研究分担者 |
泉 隆 北海道東海大学, 工学部, 助教授 (80193374)
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
武田 秀勝 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10048134)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | バーチャルリアリティー、 / リハビリテーション工学、 / ヘッドマウンテッドディスプレイ / 視空間失認、 / バーチャルリアリティ / リハビリテーション工学 / 視空間失認 / バーチャルリアリティー / 視覚障害 / バランス |
研究概要 |
本研究の目的は、小型3CCDカメラ付きヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)を使用することで、障害のない残存する視野範囲に正常視野範囲の視覚情報をより現実に近い3次元的視覚情報として縮小して与えることにより、中枢神経疾患に伴う治療困難な視覚障害者のためのリハビリテーション訓練への応用および日常生活活動支援機器としてのバーチャルリアリティ(VR)システムを試作開発することである。 平成11年度は視覚障害を定量化し、その障害のない残存する視野範囲に正常視野範囲の視覚情報をできるだけ縮小して与えることに着手した。このため臨床で用いられる高次脳機能障害検査のうち線分抹消試験を選択した。線分抹消試験用紙:A4横(210*295センチ)を小型3CCDカメラからの映像信号をSGI社製コンピュータに入力し、SGI上で映像を修正した後(100%、80%)、HMD(キャノンGT270)に映像出力するシステムをまず試作し線分抹消試験に応用した。結果として、健常者はすべて正解し、所要時間も平均30秒/1枚であった。脳卒中患者は5名実施しこのうち3名において、80%の映像縮小修正し映像呈示した場合の得点は、無視部分が多い100%の映像呈示時の得点より約2倍ほど得点が改善した。所要時間は平均150秒/1枚であった。 平成12年度は、平成11年度の問題点であった小型3CCDカメラからの映像信号をコンピュータで映像修正しHMDに映像出力時の時間的遅延の解決を目指した。技術改善の結果、以前の時間的遅延は100msecであったものが33msecに向上させた。新システムにより線分抹消試験を再度実施した。なお、縮小率は100%、90%,80%,70%の4条件に増やして試行した。結果として、脳卒中患者は6名実施しこのうち4名において、80%もしくは90%の映像縮小修正し映像呈示した場合の得点は、無視部分が多い100%の映像呈示時の得点より有意に得点が改善した。また、70%の縮小率では逆に得点がのびず、被験者側の意見として「小さすぎて見づらい」ということがあげられ、縮小率の限界点の存在が示唆された。今後の問題として、現状のハード、ソフトを修正しながら、歩行など動的条件下での映像信号をさらに遅延させずに出力処理することが重要な課題として残った。 現在、半盲や視空間失認改善のため用いる視野矯正目的のプリズム眼鏡は、欠点として視野角度の限界および屈折角度を大きくしたときの像の鮮明度低下・歪みなどがある。しかしながら、本研究で構築されたHMDシステムの利用により個々人の障害度にあわせた自由な縮小率の選択、像の鮮明度維持が確立されたことで、HMDシステムの3次元的視覚検査・訓練機器としての臨床応用の可能性が示唆された。
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