研究概要 |
水平に動く視運動刺激をトリガーとして顔面神経支配の眼輪筋,口周囲筋の各種機能を1)反射性瞬目blink,2)片眼随意閉瞼wink,3)反対眼随意閉瞼anti wink,4)片側随意口すぼみpuckemouth,5)対側随意口すぼみantipuckemouthの5課題につき検査し,その潜時,方向の正確性を表面筋電図記録法で記録分析することで脳高次機能の臨床的検査法としての可能性,また訓練効果も検討した.第1グループは正常被検者11名(21-62歳).今回はその訓練効果につき,自由練習11日目に再度記録した.第2グループは20代5名の被検者につき,視運動刺激ソフトを作り,各人に朝夕15分の練習を確実に行ってもらい7,14日目に記録し,その訓練効果を解析した.それぞれ10回ずつの記録からその潜時(msec),正確性(方向のエラー,%)を求めた.第1グループでの訓練効果すなはち潜時の短縮は有意な効果をみると1)blink:4/11,2)wink:5/11,3)antiwik:2/11,4)puckermouth:4/11,5)antipuckermouth:3/11の被検者にみられた.第2グループの訓練効果は各運動別に全体をまとめると,一部の運動で有意にみられ,被検者別にみると運動別に約20%に訓練効果がみられ,正確性(エラーの頻度%)は0-20%であり,いずれも訓練効果は著明とは言えず,個人差,運動別差がある.20代の潜時平均値をみると1)blink:175msec,2)wink:230,3)anti-wink:275,4)puckermouth:260,5)antipuckermouth:300となり1)2)3)の間では差異がみられた.4)と5)の間でも差異が見られ,wink-antiwink, puckermouthの潜時差とsaccade-antisaccadeの潜時差は70msec前後でほぼ類似しており,その中枢経路の共通性を示している.病変に於ける訓練効果の定量的評価に有用である.中枢神経病変には対座法でその潜時,正確性の乱れが明瞭であった.対照研究として衝動眼球運動特殊課題のレビュー,本研究発展のため錯視illusory line motionを用いる視覚空間注意の新しい視覚高次機能検査法を自作開発提示した.
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