研究概要 |
1.オンオフ間欠性の自己相似性統計: カオス特解の不安定化に伴うオンオフ間欠性ゆらぎは不安定直後では相関時間は極めて長く,相関時間より小さな領域では強い相関をもつ.強相関に起因した自己相似な統計構造が存在することを見出した.さらに,この自己相似性を解析するために,強相関領域で成立する大偏差統計理論を構築し,数値実験とよく一致する結果を得た. 2.雑音下のネマティック液晶の対流発生に伴う間欠性の確率モデルによる研究: 雑音下のネマティック液晶系で実験的に観測されているオンオフ間欠的なパターン変化に対する相乗確率雑音をもつ確率論的モデルを提案した.モデルに基づき数値実験を行ない,間欠性の統計特性を詳しく解析した,さらに,実験的に不可避な熱雑音を相加的に取り込み,熱雑音のパターン変動に対する効果を調べた. 3.発達した乱流における普遍統計則: 速度差ゆらぎと粗視化エネルギー散逸率ゆらぎの統計量を乱流シェルモデルの数値実験的を用いて調べ,これまで知られているShe-Levequeモデルの結果によく一致することを見出した.また,近年実験的に見出されている拡張された自己相似性(ESS)の現象論的に導出することに成功した. 4.周期的磁場下のイジングスピン系の動的相転移: 周期的磁場下のランダウ理論を用いて,MCで見出されている動的相転移は,周期運動の対称性の破れに伴う転移であることを明らかにし,外場の振動数と振幅空間における相図を近似的に再現することに成功した.また,転移点近傍での逓減動力学を導くことにより,熱ゆらぎに関する統計量を導き,数値実験の結果とよく一致することを見出した.
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