研究課題/領域番号 |
11839003
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田谷 一善 東京農工大学, 農学部, 教授 (60092491)
|
研究分担者 |
野口 純子 農林水産省, 農業生物資源研究所, 研究員
代田 眞理子 食品薬品安全センター, 秦野研究所, 研究員
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 内分泌撹乱物質 / ビスフェノールA / オクチルフェノール / ゲニスタイン / テストステロン / インヒビン / プロラクチン / ラット / シャトルボックス回避能 / HAA、LAAラット / Hatanoラット / 内分泌撹乱作用 / 春機発動 / 自発運動量 / 免疫機能 / 精子形成 |
研究概要 |
本研究では、現在環境中内分泌かく乱物質として最も注目されている2種類のフタル酸化合物である「ビスフェノールA」と「オクチルフェノール」および大豆中に含まれる天然の植物性エストロジェンであり、甲状腺機能低下の作用も指摘されている「ゲニスタイン」を用いて、雌雄ラットの生殖機能に及ぼす影響を精査した。その結果、ビスフェノールAは、雄ラットに対しては、精子数減少、テストステロン分泌低下などの明らかな精巣機能低下作用のあることが判明したが、雌ラットに対する作用は雄と同量の用量では認められなかった。一方、オクチルフェノールは、ビスフェノールAに比べてエストロジェン様作用が強く、雄ラットに対してはビスフェノールAと同様な精巣機能抑制作用が認められた。雌ラットに対しても、オクチルフェノール投与により成熟ラットでは、膣スメヤーが連続発情像を示した。また、同様の用量を幼若時に投与すると、膣開口が早まり、膣スメヤー像は連続発情像を示した。これらの現象を内分泌学的に検討した結果、オクチルフェノールを幼若時に投与するエストロジェン様作用により、性中枢の不可逆的な雄性化を誘導する事実を明らかにした。次に、ゲニスタインの作用については、各種生理的機能が遺伝的に均一化され、わずかな作用を検出することが可能な実験動物として育成分離されたシャトルボックス高回避(HAA)および低回避(LAA)系ラットを用いて解析した。その結果、ゲニスタインの経乳汁曝露は、LAAに対しては発育を抑制し、雌雄の春機発動を遅延させ、HAAに対しては、オープンフィールドにおける活動性を亢進させ、抗体産生能を抑制する事実を明らかにした。これらの指標は、いずれもそれぞれの系統に特徴的な変化がさらに増強されて現れたものであり、種々の整理機能に明瞭な系統差の見られるHAA系およびLAA系を用いることで、ゲニスタインに代表されるエストロジェンの経乳汁的作用がより明瞭になることが示され、同系統は、環境中化学物質の有するエストロジェン活性が視床下部・下垂体・甲状腺・副腎・性腺系に及ぼす影響を研究する上で有用なモデル動物になると考えられた。
|