配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
ダイオキシンは、生体に入ると、肝臓解毒酵素誘導、生殖毒性(雄性生殖毒性、雌性生殖毒性)発生毒性(奇形誘発)、免疫毒性、発がんプロモータ作用等多彩な毒性を発揮すると言われる毒物である。本研究は、マウスにおける雄性生殖毒性の発現機構について、研究することを目的としたものであった。その背景には、近年ヒト精子が減少傾向にあるのではないか、その減少には、環境中にある、ダイオキシンをはじめとする外因性内分泌攪乱化学物質がヒトに影響を及ぼしているためではないのかという、一般市民に強い不安を持っていることがある。そこで、マウスを用いて、ダイオキシンの精巣その他の雄性生殖器への影響を見た。 マウスの胎生14.5日(膣栓発見日を0日とする)に2,3,7,8四塩化ジベンゾパラジオキシン(以下TCDDと略)を0,0.625,2.5,10μg/kg母体体重の割合で強制経口投与した。自然に分娩させて、同じ母獣に授乳させた。生後4週で離乳させて、10週で仔を屠殺し、精巣の組織像、精巣上体に貯留した精子数、副生殖器(精嚢、前立腺、包皮腺)の重量をエンドポイントとして検索した。10μg/kg TCDD投与群では、仔は生後1日のうちに全例死亡した。そこで2.5μg/kg TCDD投与群を最高用量群として、考察を加えた。しかし、投与群と対照群との間で有意の差を認めることができなかった。それゆえ、結果を論文の形では発表しなかった。 ダイオキシンの毒性は、アリール炭化水素受容体(別名ダイオキシン受容体、AhR)を介して発現すると言われている。そこで、AhRの雄性生殖器での発現を、レポーター遺伝子アッセイ、インシツハイブリダイゼーション法で観察した。しかし、発表するに足りるデータを得ることができなかった。 そこで、ダイオキシンの肝臓への毒性発現機序を見る目的で研究を方向転換した。こちらは、肝臓のキサンチン酸化酵素、キサンチン脱水素酵素の活性が、ダイオキシンによって上昇すること、その上昇がAhRに依存することを明らかにすることができた。これに対応した組織像の変化を、肝臓の脂肪染色で捕らえることができた。 ダイオキシンは中枢神経系にも影響を及ぼすことが知られている。この分野に対して、基礎的研究を継続し、ダイオキシンの神経毒性を検討する基礎的データ、手法の確立に力を注いだ。まず、マウスの小脳の構造を検討し、新知見を得た。また、抗てんかん薬のフェニトインを投与することにより、マウスの行動異常を評価した。
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