研究概要 |
初年度には臨床心理学の教育に携わる教員及び大学院生から臨床心理士教育の現状と問題点の聞き取り調査および資料収集を行った。また、米国の臨床心理士養成機関を訪問し、調査と資料収集を訪れ教育スタッフからの聞き取り調査をおこなった。実態調査、米国での調査、それに文献研究の結果を統合し、日本の臨床心理学教育の課題と方向性を明確にし、それを平成12年出版の拙著「心理臨床の基礎1:心理臨床の発想と実践」(岩波書店)にまとめた。 2年目は、臨床心理学の専門教育に関心をもつ大学教員5名と臨床心理士養成カリキュラムについての研究会を継続してもち、具体的モデルの構成作業を行った。また、英国の7大学を訪問し、調査及び資料収集した。研究成果は、米国、英国、日本の比較研究として発表した(下山晴彦2000臨床心理学の教育・訓練システムをめぐって:英国および米国の状況を参考として臨床心理士報21 pp19-32)。さらに、研究会での議論も踏まえて臨床心理士養成カリキュラム案を具体的モデルとして構成し、平成13年3月に行われた文部科学省主催の「臨床心理士の資質向上に関するシンポジウム」で発表した。 3年目は、作成したカリキュラムに従って教育訓練を実施し、その結果に基づきカリキュラムの修正を行い、モデルを洗練した。その成果は、拙論文(「高度専門職業人としての臨床心理士養成の基本モデル」臨床心理士報23 pp25-30,「学部および大学院における臨床心理士養成カリキュラム案」臨床心理士報23 pp69-80),"On the developmental task of clinical psychology in Japan"東京大学教育学研究科紀要41 pp273-281)に発表した。また、13年出版の拙編「講座臨床心理学1 臨床心理学とは何か」(東京大学出版会)にも研究成果を盛り込んだ。
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