研究課題/領域番号 |
11871028
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤井 敦史 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60292190)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 市民事業組織 / NPO / 市民的専門性 / 組織学習 / 共感の経済 / ローカル・ノレッジ / 反省的実践家 |
研究概要 |
平成11年度に引き続き、平成12年度、本研究では、神戸市における災害救援・コミュニティ形成(ミュニティ・ビジネス)・高齢者福祉に携わるNPO/NGOについてヒアリング調査を行い、また仙台市内においても福祉NPOの実態調査等を積極的に行った。これらの調査においてNPOの社会問題解決能力としての<市民的専門性>の内実とそれを支える条件について理解することができた。 第一に、神戸市内の阪神高齢者・障害者支援ネットワークというNPOでは、「生活者としての人間に対するケア」というミッションのもと、仮設住宅の住民の生活に寄り添いながら、彼等との信頼関係を築きニーズを的確に見つけ出していくためのスキルやノウハウを見出すことができた。そして、これらのスキルやノウハウによって現場の知識(local knowledge)がNPO内部に蓄積されており、NPOにおけるイノベーションや政策提言のための重要な基盤になり得るということが理解できた。第二に、以上のような現場の知識を対象との相互作用の中から獲得し、組織内部で共有化するためには効果的なボランティア・マネジメントや組織学習の仕組みが必要であることがわかった。有効なケアが可能なNPOにおいては、個々のメンバーが現場でぶつかる課題を反省的に解釈し共有化するためのミーティングや研修といった装置が豊富に存在していた。第三に、NPOが現場のニーズに則して柔軟に活動していくためには、NPOにおける組織としての自律性が不可欠であり、そのためには財政的に行政からの補助金・助成金、並びに事業収入に依存するのではなく、地域社会において支援基盤を地道に作りながら寄付その他の資源獲得を行っていく必要がある。その際にNPOリーダーが地域の諸アクターとの間にどのように共感や信頼を作り出していくのかということが今後の重要な研究課題である。
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