研究概要 |
(1)研究代表者および研究分担者に大学院学生を加えた研究会を,本年度も継続して行い,主として社会構築主義にもとづく言説分析の成果について検討した。伝統的な社会調査法や(統計)分析法とはまったく異なる発想から生まれ,またこれらの方法とは厳しく対立している言説分析の結果を,非定型データの一類型としてとらえ,利用する可能性を検討したものである。また,東京大学において盛山和夫氏(同大学)らとの研究会を開催し,これらの成果を紹介するとともに意見交換を行った。これらの作業の一環として,大学院生の丹野綾子は戦後の新聞記事の分析を行い,修士論文(『売買春』の語られ方の変容-構築主義アプローチを通して)をまとめた。また,原は論文「意識調査と言説分析」(次頁図書所収)をまとめた。 (2)昨年度から本研究科で実施されている共同研究プロジェクト(教育研究拠点形成支援経費による)と連携し,自由回答情報の電子媒体への蓄積・保存方法の検討を進め,コード化されたデータと自由回答のテキストファイルの接合による方法,調査原票の画像データファイル化などを試みた。大学院生の半澤太一は,原が所蔵する「原子爆弾被爆者実態調査」(昭和60年,一部)を用いて,自由回答の自動コーディングプログラム(Autocode,KTCoder,WordMiner)の比較検討を行い,修士論文(非定型データ分析法の比較研究-昭和60年度原子爆弾被爆者実態調査をふまえて)をまとめた。また,原はこれらの成果を「文化資源学の創設をめざして」として発表した。
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