研究課題/領域番号 |
11871056
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
|
研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
高田 実 九州国際大, 経済学部, 教授 (70216662)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 福祉国家 / 福祉社会 / 福祉の混合経済 / 福祉の複合構制 / 社会政策史 / イギリス近現代史 / 友愛組合 / 老齢年金 / イギリス史 / 中間団体 |
研究概要 |
今年度は、イギリスにおける「福祉の混合経済」の歴史の中における地方自治体と友愛組合の役割について、実証、理論の双方にわたって検討した。実証レベルでは、1908年に成立する老齢年金法の成立過程においてこれらの団体がいかなる反応をしたのか、また同法の実施過程においてそれらがいかなる役割を果たしたのかを明らかにした。各層の地方自治体は、国家的な福祉立法においてもできるだけ実質的な運営権限(自治)を自らの手に確保しようとして、自治体間での対立を生み出すし、法の執行過程では自治体は法の規定に対抗しつつ、その地域の中で作り出されてきた独自の社会的正義に基づいて年金受給資格を認定していくことが明らかになった。他方、友愛組合の方は、当初は国家年金は自らの原理である自助に反するとして反対の姿勢を示していたが、商業主義的な保険との競争激化の中で組織基盤が危うくなるにつれて、「国家とはわれわれ自身である」という論理で次第に国家年金に賛成した。また、法の実施過程では、友愛組合は自らの理念である「参加」と「自営」を体現して積極的に年金行政を担うことになるが、受給資格認定業務において国家の基準と自己基準の合間においてジレンマに直面した。以上を実証的に明らかにしたが、これらの成果は、2000年5月日本西洋史学会(大阪外国語大学)、9月第3回日英歴史家会議(ロンドン大学歴史学研究所)で報告した。 一方、理論的研究については、「福祉の複合構制」(福祉の混合経済)論がどのような理論的可能性をもっているか、またそれをつかってイギリス福祉国家成立史をスケッチするとどうなるか、さらにはそれがイギリス近現代史の新たな理解にどのような可能性をもっているか、2000年10月社会思想史学会(東洋大学)、社会政策学会(立命館大学)、2001年3月九州歴史科学研究会(西南学院大学)で報告した。
|