研究課題/領域番号 |
11871069
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
その他外国語・外国文学
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小畑 精和 明治大学, 政治経済学部, 教授 (30191969)
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研究分担者 |
永江 敦 明治大学, 政治経済学部, 講師 (40267357)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | カナダ文学 / 国民意識 / アイデンティティ / ケベック / 記憶 / 多文化主義 / 国民国家 / 近代化 / 国民文学 / ナショナリズム / サバイバル / 民族のアイデンティティ / 静かな革命 / ケベック文学 |
研究概要 |
1950年代まで、カナダの国民意識は、建国二大民族と言われる英系カナダと仏系カナダに二分され、他の少数民族グループはその対立の中に埋没していた。例えば、『赤毛のアン』においては、スコットランド的伝統を守ることが価値観の基礎をなしている。他方仏系では、『マリア・シャプドレーヌ』に典型的に見られるように、フランスの伝統を受け継いでいることがアイデンティティの核となっていた。 しかし、二つの大戦を経て、ヨーロッパとの結びつきが弱くなるにつれて、「カナダ」意識が芽生えてくる。それが文学に現れるのは60年代になってからであろう。英系では、N.フライやM.アトウッドが「カナダ文学」としての自覚を高め、仏系も含めてその特性を探ろうとし始める。他方、仏系では、雑誌「リベルテ」などを中心に、「フランス系カナダ文学」に替わって「ケベック文学」が標榜されるようになり、英系との差異を鮮明にしていく。 ところが、こうした新たなアイデンティティの模索が英系・仏系両者で始まる60年代に差別的移民制限が撤廃され、他の民族グループの人口が増加し始め、80年代、90年代になると、M.ミコーネ、J.コガワ、M.リッチラー、M.オンダーチェ、Y.チェンら、英系・仏系以外の移民作家・先住民作家による作品が爆発的に発表されるようになる。二大建国民族によるアイデンティティ形成は半ばで頓挫し、新移民を含めた「多文化主義」をカナダは目差すようになる。 多民族間で「共通の記憶」が欠如しているカナダでは、ナショナル・アイデンティティの形成は困難なのである。しかし、そうした場にこそゲーテやスタンダールが夢想したような「世界文学」の可能性もあるのではなかろうか。
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