研究課題/領域番号 |
11872007
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 法政大学 (2000) 北海道大学 (1999) |
研究代表者 |
中野 勝郎 法政大学, 法学部, 教授 (70212090)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | エスニシティ / アングロサクソン主義 / アメリカ外交 / 明白な運命 / ネイティヴィズム / 移民 / アメリカのナショナリズム / 膨張主義 / ナショナリズム / 多文化主義 / 共和制 / 孤立主義 / 多民族国家 |
研究概要 |
本研究では、いくつかの知見が得られたが、ここでは、アングロサクソン主義とアメリカ外交との関係について報告しておきたい。アメリカの外交には、「明白な運命」論が色濃く反映されているが、それがアングロサクソン至上主義であったといいきることはできない。たしかに、19世紀なかばから「反カソリック」運動がみられるようになるが、他方、たとえば、独立以来19世紀後半に至るまで、同じアングロサクソン人からなるイギリスとの関係は良好ではなかった。支配的なエスニック集団であるアングロサクソンは、エスニシティと外交とを切り離して考えていたといえる。ただし、合衆国が北米大陸内部に発展し、さらには、太平洋に関心を向けるにともなって、スペイン系、ハワイアン、アジア系の人間と接触し、彼らの住む領土を併合することが意図されたが、その際、問題になったのは、彼らが、アメリカのデモクラシーの担い手になれるかどうかであった。そして、その問題は、彼らがアングロサクソン的な価値観を共有できるかどうかという問題でもあった。その点ではアングロサクソン主義にみえる。しかし、アメリカが移民の国である以上、たとえアメリカの政治制度がアングロサクソン的な価値観の反映であっとしても、それは、移民のもちこむ異なる価値観との接触によって変容せざるを得ない。実際、アングロサクソン系以外の移民が大量に増加した20世紀のアメリカは、国内のエスニック集団の多様性を反映した外交を行うようになった。アメリカは、外交において、アメリカ的価値を擁護することとそれを世界に広めることとを意図しているが、国内に多数のエスニック集団をかかえ、それらがアメリカ的価値をたえず変容させている以上、アメリカは、ナイーブにアングロサクソン主義を主張できないばかりか、国益の策定をめぐって対内的なエスニック・ダイナミズムを抱えこんでいるのである。
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