研究課題/領域番号 |
11873003
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
有江 大介 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40175980)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 経済思想 / ベンサム / ペイリー / 近代 / 啓蒙 / 快楽主義 / 功利主義 / 世俗化 / 自然神学 / ダーウィン / 種の起源 / 経済学 / イギリス国教会 / 進化論 / J.S.ミル |
研究概要 |
3年計画の最終年にあたる平成13年度は、前年度までに得られた新たな知見である、成立期の経済思想と自然神学思想の深い内在的連関の存在を、啓蒙期ブリテンの社会科学成立史全体の中でどのように位置付けるのかに絞って考察した。 こうして得られた新たな知見は、第一に総括的視点として、杜会科学成立史を検討するにあたっては、経済学の成立と体系化の過程を考える際にも、その社会と時代の宗教的背景に対する配慮が不可欠であるという点である。神学的には18世紀におけるスミスの「見えざる手」や「自然価格」概念以来の自然神学と、政治的には、ペイリーやいわゆるキリスト教経済学に曲型的示される一つの政治的レジームとしてのイギリメ国教会のイデオロギーとの連関の問題が挙げられる。従来のわが国の経済学成立史では、こうした視点が欠落していた。 第二に、より具体的に経済思想や社会科学の成立と体系化に対して、自然神学の果たした役割は自然科学の場合とは異なり、一面でその体系化を促進した一方で、体系化を企図すればするほ結果として神学からの乖離を促したという、複雑で逆説的な経緯が見られるということを示しえた点である。この相互関係の視点も、従来の研究では十分省みられることがなかった。 第三に、これらの検討が、個別的設問の枠を超えて大きく「近代」とは何かという設問につながる形で示される必要があるという点を明らかにした。結果として、心理的快楽主義という反宗教性を体現したベンサムの功利主義が経済学の規定的イデオロギーとして定置されたように、啓蒙期以来の世俗化の過程が感覚的人間から出発する近代的認識の典型が経済学といえる。
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