研究概要 |
1.瓶ヶ森地域久万層群のおよび基盤の三波川変成岩類の地質調査と久万層群各層準からの変成岩礫の採取をおこなった.また,瓶ヶ森地域の三波川変成岩との比較研究のため,紀伊半島の三波川変成帯,中国地方の三群変成帯の地質調査と変成岩試料の採取をおこなった.また,変成岩礫個々の情報のデータベース化の準備を進めた. 2.変成岩礫と基盤の三波川変成岩の変成岩石学的研をおこなった.X線マイクロアナライザーを使用して,変成組織と変成鉱物の化学分析を行い,久万層群中の変成岩礫の最も高変成度のものは650℃,10kb程度の変成条件に達していることが明かとなった.これは,現在露出している三波川変成岩に比べて明らかに高温の変成作用を示し,三波川変成帯形成初期段階の変成作用の特殊性が識別された. 3.年代測定用試料の準備として.変成岩礫からホルンブレンド,白雲母,スフェン,りん灰石,ジルコンなどの分離をおこなった.マイクロドリルを用いた変成鉱物からの微小試料の採取,Rb-Sr法,Sm-Nd法の年代測定のための難溶性試料(たとえばざくろ石)の融解,元素分離方法の確立をおこなった.これにより,単一試料中の異なるステージの変成鉱物形成時期の年代測定,累帯構造を示す変成鉱物の年代測定をおこなう準備が整った. 4.フィッション・トラック法による変成岩礫(砂質片岩)中のジルコンの年代測定をおこなった.結果は,すべて65-70Maの年代を示し,これはジルコンの閉止温度である240℃変成岩がに冷却された年代を示している.この年代は,四国中央部の現在露出している別子ナップおよび大歩危ナップの冷却年代に比べて有意に古いことが明かとなった.
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