研究課題/領域番号 |
11874096
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
原 亨和 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (70272713)
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研究分担者 |
野村 淳子 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (60234936)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | メカノキャタリシス / 金属酸化物 / 力学的エネルギー / レドックス反応 / 層状複合酸化物 / ペロブスカイト型複合酸化物 / 光触媒 / 可視光応答性 / 光照射 / バンドギャップ |
研究概要 |
これまでの研究から、数多くの単純な金属酸化物の中でNiO、Co_3O_4、Cu_2O、Fe_3O_4、RuO_2、IrO_2のみがメカノキャタリシスによる水の全分解反応の触媒となることが明らかになった。同じ反応条件ではでNiO、Co_3O_4が高い触媒活性を示す一方、RuO_2、IrO_2は低活性であった。この触媒反応は前述のように反応容器底面とその上で回転する回転体の間に挟まれた触媒粒子に力学的エネルギーが加えられて進行するが、その水の分解活性は触媒の粒径、回転体の形状、回転体と反応容器底面の間にかかる圧力に大きく依存した。触媒粒経がサブミクロンオーダーの場合、反応容器底面と回転する攪拌子の間にある小さな触媒粒子に充分な力学的エネルギーが与えられないために水分解活性は非常に小さい。平らな反応容器底面に回転体を線接触した時の活性は面接触の場合より高く、回転体を反応容器底面に押し付ける力に比例して水の分解速度が大きくなった。これらの結果は触媒粒子に加えられる圧力が高いほど触媒に与えられる力学的エネルギーが大きくなり、水の全分解速度が速くなることを示している。各々の反応条件下、これらの金属酸化物触媒の中でNiOが最も高い水の分解活性をもち、力学的エネルギーの変換効率は4-10%に達した。一方、RuO_2、IrO_2は最適条件下においても低い活性しか示さなかった。 また、NiO、Co_3O_4、Cu_2Oを用いて反応メカニズムの解明が試みた結果、反応条件下でこれらの金属酸化物表面の一部は金属まで還元され、再び元の酸化物に戻ることが明らかになった。このことは触媒表面でレドックス反応が進行していることを示している。分光学的な解析も行われ、水がない状態でCu_2Oに力学的エネルギーを回転体によって与えると波長600nm未満(>2.1eV)の発光が検出された。Cu_2Oのバンドギャップエネルギーが2.1eVであることを考慮すると、力学的エネルギーを与えられたCu_2Oでは電子のバンドギャップ遷移が起きていることが考えられる。他の触媒の分光学的実験は現在継続中であるが、Cu_2Oのメカノキャタリシスでは力学的エネルギーがバンドギャップ遷移を起し、これが触媒表面でのレドックス反応のドライビングフォースとなっていることが予想された。
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