研究概要 |
本研究は、σーπ共役により芳香核π電子系の強い電子的摂動が期待される分子として、芳香環がケイ素ーケイ素結合で連結された非環状および環状ベルト状分子を創製し、これらの分子に特異な化学的・物質的性質に関する知見を得ることを目的として計画され,以下の新規知見を得ることができた。1)ベンゾ〔1,2:4,5〕ビス(テトラメチルジシラシクロブテン)をパラジウム触媒存在下で加熱すると,ベンゼン環がケイ素ーケイ素結合で連結された非環状および環状ベルト状オリゴマーが生成することが判明した。特に,高希釈条件下では,環状四量体が生成した。このもの構造はX線単結晶構造解析によって構造を確定した。構造解析から,このものにおいて,分子内でのベンゼン環の距離7.3Åであり,かなり大きな大きな空孔が存在する。また,ベンゼル環を連結している2本のケイ素ーケイ素結合はケイ素状のメチル基間の立体効果に捻れている等の特異な構造を有することが明らかになった。オリゴマー化では,五及び六量体も生成するが,これらについては現在,X線単結晶構造解析により構造を解析中である。高濃度条件下でオリゴマー化は,ラダー型の非環状分子が生成することがわかった。以上の反応で得られるオリゴマーは新規含π電子及びσ電子系であり,今後これらの電荷移動錯体形成能、包接能、電子物性(光導電性、EL発光能)を調べていきたい。2)課題研究に関連して,含アセチレン結合有機ケイ素分子における立体配差異性体の分離と構造解析に成功した。またラダーポリシランの位置選択的多酸化(ドミノ酸化)等を見いだした。
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