研究概要 |
人工血小板として実用化が有望視されているrGPIbリポソーム粒子の運動や凝集塊を形成する過程をin vitro実験にて観測し、人工血小板としての機能を評価した。人工血小板は凝集する毎に大きくなるが、その凝集塊の大きさに着目し,流路内分布,運動とともに変化する粒子の大きさを顕微鏡下で観測した。 粒子の観測には共焦点レーザ走査型顕微鏡を用いた.流路は,血小板の止血機能が最も重要視される細動脈(径15〜500mm)のモデルとして,一辺200mmの正方形断面をもつ矩形流路を作製した.リポソーム溶液を流路内腔に灌流し,共焦点レーザ走査型顕微鏡によリz=0におけるxy平面内の粒子画像を240frames/sで取得した.さらに時間間隔0.0833sの画像200枚をコントラスト増幅後に二値化処理し,粒子の重心位置・面積を測定した.粒径は面積により評価したが,流速が大きいほど粒子像が流れ方向に伸びるため矩形管内理論流速から面積を補正した.y座標に対する粒子の度数分布(全画像の積算)を求め,管径方向濃度分布とした. 粒径1μm程度の粒子から粒径10μm以上の凝集塊までが混在していることがわかる.そこで濃度分布の内訳を粒径の大小によって分類して評価を試みた。粒径1μmより小さい粒子(A),10μmより大きい粒子(B)の管径方向分布を,Control-liposome,rGP Ibα-liposomeそれぞれについて計測した.どちらのリポソームも大きな凝集塊が管壁付近に偏在するのに対し,小さな粒子は分布のピークが管軸に近いことが言える.従って、大きな粒子が壁付近にも近づく現象は、人工血小板としての機能に見通しを与えるものである。さらに、コラーゲンを被覆した面を流れに露出させると、表面で凝集塊が粘着する様子が観測され、止血効果の一端を確認出来た。
|