研究概要 |
1.静電浮上用ヒステリシスアンプの改良を行った.電圧出力形のパルス幅変調(PWM)アンプにおいて,電圧誤差検出回路にヒステリシス特性を持たせることによって,負荷容量によってスイッチング周波数が変化するアンプが得られる.これまでに試作したヒステリシスアンプでは,スイッチングに伴って生じるチャタリングによる誤スイッチングを避けるため,ヒステリシス幅をかなり大きくする必要があった.今年度の研究では,電圧検出回路を改良することによって,ヒステリシス幅を小さくすることを試みた. 2.静電浮上実験装置の試作を行った.試作した装置は,浮上対象物の3自由度を能動的に制御するものである.支持側電極は,4対の電極を持ち,全体で6角形の形状となっている.中央部には,バイアス力を与えるための1対の電極が設けられている.また,浮上対象物の3自由度の運動の制御に用いる3対の電極は,その周りに対称に配置されている.各電極の有効面積は1131mm^2とした. 3.上記の4対の電極のうち,1対の電極を用いて,改良したヒステリシスアンプの特性を測定した.具体的には,ヒステリシスアンプへの指令電圧を一定にした状態で,浮上対象物と浮上用電極との間のギャップを変化させてスイッチング周波数を測定した.供給電圧は475V〜550V,指令電圧は240V,ギャップは20μm〜200μmとした.測定の結果,スイッチング周波数はギャップに比例して変化することが確認された.また,アンプへの供給電圧を高くすると,スイッチング周波数も高くなることも確認された.しかしながら,依然,ヒステリシス幅を小さくすると誤スイッチングが発生するという問題があることがわかった.
|