研究概要 |
本研究で提唱する歪分布測定法では、光ファイバにコヒーレントな光パルスを入射して得られるレイリー散乱ジグザグ波形が、歪を受けると変化し、適度に光周波数を変えると元に戻ることを利用するものである。本測定法を実現するためには、環境変化のない状態において、ジグザグ波形の再現性が保たれなければならない。しかし、このような再現性は従来得られていなかった。平成12年度には、本研究において初めて5分間という短時間再現性が得られた。そして今年度(平成13年度)には、以下の取り組みを行い、更に長時間にわたってジグザグ波形の再現性を得ることが出来た。 (1)レイリー散乱波形の再現性の更なる向上を図るために温度安定性の向上を図った。具体的には恒温器を増設して、光源と被測定ファイバを独立に2つの恒温器に収納した。 (2)偏光状態が重要なため、信号光と局部光を分岐するカプラに偏波面保持カプラを導入した。更にヘテロダイン受信機の局部光用と信号光用に偏光制御器を2台導入した。 (3)信号光と局部光の偏光を手動で変化させて偏光状態を平均化することにより(やや粗い平均化だが)、1時間にわたって再現性の良いレイリー散乱波形を得ることが出来た。12年度と比較すると12倍長い時間にわたり再現性が保持された。 (4)ディテクタに広帯域のものを採用し、帯域制限による波形の歪みを低減する予備的実験も行った。 これらの成果は、信学技報,OFT2001-47,pp.31-36(2001-10).および電子情報通信学会2001年通信ソサイエティ大会講演論文集2,B-13-11(2001-9).で発表した。
|