研究概要 |
1.月土壌の採取法及び地球への持ち帰り法の研究 月面での特殊環境下での作業性に関する研究を中心に進めた。月環境と地球環境との相違の主なものは,(イ)月重力は地球の約1/6,(ロ)高真空状態,(ハ)無水状態,(ニ)遠隔・無人操作,などである。このような問題に対し,どのような対処法があるかを中心に研究を行った。 2.月面構造物の初期設計 月面構造物は,熱や宇宙線などを遮断するためにかなり頑丈に建設されると予想される。月面構造物の応答解析を行うのに先立ち,具体的な月面構造物の初期設計を検討した。アポロ計画での月震の観測記録から,月震計の計器特性を取り除くことにより,変位波形を求めた。その結果,浅発月震,隕石月震においてはM2〜4の規模で起こっていることがわかった。さらに隕石月震では,構造物により近い地点への隕石の落下により,さらに大きな地震動の可能性が考えられる。初期設計では,これらの要素を考慮した。 3.月面構造物の月震応答解析 月震の時刻歴波形は,地球の地震波形と大きく異なる。そこで,上記2で設計した構造物に対して,月震による応答特性を調べた。解析の対象とした月面構造物は月地盤の表面から深さ5mの地点に一辺が3m,厚さ1mの正方形のコンクリート構造物である。月を想定する場合は構造物内に1気圧の圧力をかける必要がある。なお,今回の解析はすべて線形で行った。 地球と月で同じ規模の地震,月震が起きた場合,重力の違いのみに関しての比較であれば揺れ方は同じであるが,減衰を考慮すると差が出るという解析結果が得られた。
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