研究課題/領域番号 |
11875123
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北沢 猛 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00292889)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | アーバンデザイン / 都市計画 / 都市空間 / インセンティブ制度 / 特別地区制度 / 連鎖的アプローチ / まちづくり組織 |
研究概要 |
日本におけるアーバンデザインは1970年前後に本格的に自治体政策として実施されてた。研究では、横浜市の施策を時系列的に整理しその背景とそれそれの施策の相関関係を分析してきた。ここでは、150程度の実例を挙げ、それらが連鎖的に行われてきたことが明らかとなった。かつ徐々に施策が制度や組織体制などにより体系化され、また企業や市民の活動とも呼応して物理的環境のみならず空間の維持管理など社会的環境の整備にも視点が広がってきた過程も見ることができた。 1)都市空間に対する理念や計画の変遷と要因の分析 2)空間整備に関連する事業や制度のプロセスと定性的な評価 3)空間整備事業が他の事業に及ぼした影響等の相互関係の把握 4)時系列的な対象の広がりの整理 同時に、アメリカおいて、ニューヨーク市等の先駆的事例を調査し、特に1970年以降のアーバンデザイン施策の中でも重要な役割を果たした「特別地区制度」を中心に文献等資料の収集整理及び関係者へのヒアリングを通してその経過を分析した。アーバンデザインの施策がどのように空間的な改善を進めたかという実態以上に、他の施策への波及的効果,つまり行政・市民・企業が行う事業やそれらに組織化あるいは意識への効果が大きい点が指摘できる。 都市計画と都市デザインの関係については、初期にはそれぞれ別の役割、つまりは都市デザインは都市計画と個々の建築や公園、道路などとの間にあってこれをつなぐものという性格が強調されていたが、都市計画自体が都市構造の改変から主題が地区の再生に移るに従い同義的にとらえられるようになっている。また、地区レベルでの課題は、平面的な土地利用規制などの旧来のゾーニングを主体とした都市計画手法では限界があり、アーバンデザインの役割が大きくなっている点も指摘できよう。かつ、空間整備の主体にも大きな変化が見られ、日本においてはまちづくり協議会などの地元市民主体の組織が活動に主体となりつつあるが、アメリカにおいてはBID(中心地区再生組織)などが活発な動きを見せていることと共通点がある。 これらの分析から今後の都市空間の改善は、現在の都市構造を大きく変えるものではなく漸新的にその体質を改善して段階にあり、アーバンデザインの連鎖的アプローチが重要となる。同時にこれまで都市計画が想定してきた都市的機能にも大きな変化があり、それらに呼応する新たな空間整備が求められておりアーバンデザインの課題となっている。
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