研究課題/領域番号 |
11875148
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
若島 健司 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (70016799)
|
研究期間 (年度) |
1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | 複合材料 / ガラス繊維 / ポリプロピレン / 積層材 / 熱膨張 / 寸法安定性 / 異方性 / 材料設計 |
研究概要 |
ある種の繊維強化プラスチック(FRP)積層板では、特定の面内方向について熱膨張係数(CTE)をゼロまたは負とする積層構成が可能である。従来、この特異熱膨張挙動は、軸方向のCTEが本質的に負である炭素繊維(CF)やケブラー繊維(KF)を用いたFRPについてのみ報告されており、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)系では報告例が全くない。本研究では、安価な汎用GFRPでも同様の挙動が見いだされれば、その工学的適用範囲はより広がるであろうと考え、単純な±θアングルプライ対称積層板を基本構成として、その可能性を検討した。 一般に、FRP積層板のCTEは古典積層板理論により算定することができるが、この定式化では特異なCTEの発現要因が見いだしにくい。そこで、本研究では構成ラミナの弾性異方性に起因する垂直-せん断連成効果に着目してCTEの計算式を導き、±θ積層板が特異なCTEを呈するための諸条件、すなわち構成ラミナ及びマトリクスが有すべき熱弾性物性(弾性定数とCTE)、繊維体積率と配向角θについて、巨視力学と微視力学の両面から解析的検討を行った。その結果、(1)CF系やKF系の一方向ラミナで見られる繊維軸方向に負のCTEは必要条件ではなく、繊維と垂直方向のCTEが軸方向CTEよりも非常に大きければよいこと、(2)ガラス繊維(GF)を用いる場合、ヤング率ができるだけ小さくCTEができるだけ大きいマトリクスを選択すればよいこと、また、そのような樹脂としてポリプロピレン(PP)が有望であることを明らかにした。この予測を検証すべく、繊維体積率が一定(45%)で配向角θが異なる数種のGF/PP系アングルプライ対称積層板[(±θ)_2]_<sym>を作製し、室温から120℃の温度域で熱膨張挙動の配向角依存性を調べた結果、予測通り、θ=30°近傍で明らかに負のCTE(-8×10^<-6>/℃)が発現すること、さらに、θ=18°では45〜85℃の温度範囲で10^<-7>/℃オーダーのニアゼロCTEが実現できることを確認した。
|