研究概要 |
WおよびMoの炭窒化物は従来合成されたことがない。しかし、我々は、W、Moの粉末(平均粒径はそれぞれ0.5、4.5μm)およびそれらとC(0.03μm)との混合粉を、(I)10〜150MPaの高圧窒素ガス中で1523〜1773Kにおいて加熱、および(II)化学反応活性が高いNH_3の常圧気流中で1373〜1573Kにおいて加熱、ならびに(III)WおよびMo粉をCH_4+NH_3(1:2)の常圧混合気流中で1373〜1573Kにおいて加熱することにより、それらの合成を試みた。その結果、(1)(I)では、それらの窒化物粉は作製できないが、炭窒化物粉は作製でき、W(C,N)およびMo(C,N)のN量は、それぞれ11〜20および8〜25at%の範囲で変化すること、(2)(II)では、窒化物粉や炭窒化物粉は作製できないこと、(3)(III)では、窒化物粉は作製できないが、炭窒化物粉は作製でき、W(C,N)のN量は5at%でほぼ一定であるが、Mo(C,N)のN量は17〜15at%の範囲で変化すること、(4)生成物はいずれの場合も容易に粉砕されて粉末になり、その粒径はいずれも原料のWおよびMoの粒径とほぼ等しいことなどを、実験により明らかにした。そして、それらの結果を、W、Moの炭化物と窒化物の結晶形や格子定数、ならびに炭化物と窒化物の一般的な熱的安定性、ルシャトリエの原理、オストワルドの反応段階説などの点から考察した。
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