研究概要 |
電極反応に及ぼす磁場効果に関連してはこれまでのところ現象論的にも,ほとんど理解されていない。反応機構が出来るだけ単純な電極反応において電解液中の流動現象をまず理解する必要がある。電析成長過程は多くの場合非平衡的に成膜されることが多く,超強力磁場中の電析研究の発展により,新しい物質が得られる可能性も高い。超伝導技術の発達により超強力磁場が比較的容易に得られる状況になってきた。このような超強力磁場勾配中で電気化学反応を行なえばMHD効果以外に常磁性物質や半磁性物質がどのように挙動するかも興味深い。このような観点から我々は超強力磁場勾配中で出来るだけ簡単な電極反応として水電解を選び,電極表面で発生する酸素及び水素ガスの挙動について検討を行なうことにした。そのために静止電解液中に平板作用電極を下向きに設置し,水電解を行なう。対極からの流動の影響を出来るだけ避けるために隔膜などを用いるか電解セル形状に特別の工夫を施した電解槽を開発中である。作用電極表面に気泡が発生しても電解液は殆ど流動しないはずであり,擬似微小重力環境が得られる。酸素ガスは常磁性であり,水素ガスは半磁性物質であるので,電解電流を遮断した後はMHD効果を除外しても生じる流動現象が確認できるはずである。
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