研究概要 |
本研究は、高選択性触媒により高反応率条件で目的化合物に選択的に変換する一段合成法(One-Pot Synthesis)が可能になる触媒を創製し、分離操作の効率化する反応分離技術の基盤を確立する。反応としては、芳香族炭化水素の形状選択的アルキル化反応を取り上げ、高反応率と選択性を両立させる新規のゼオライト触媒を創製することを目的とする。本年度の主な成果は以下の通りである。 1)1,1,1,8,8,8-ヘキサエチル-1,8-ジアゾニアオクタニウムをテンプレートとするドライゲルコンバージョンを試み、一次元12員環を有する高い結晶性のH-{Al]-SSZ-31の大量合成に成功した。 2)触媒機能を高めるために酸濃度のSSZ-31の合成条件を検討した。Alを出来るだけ均一に分布させることを目的に各種大口径ゼオライトを原料とするゼオライト合成を試みたところ、H-Betaから結晶性及び高い酸濃度を兼ね備えたH-[Al]-SSZ-31が生成することを見出した。この際のSiO2/Al2O3比は48.0であった。 3)上記で合成したH-[Al]-SSZ-31を触媒とするビフェニルのイソプロピル化反応を検討した。何れのSiO2/Al2O3比を有するSSZ-31も高い触媒活性が認められ、4,4′-ジイソプロピルビフェニル(4,4′-DIPB)が高い選択率で得られた(最高72%)。この際、触媒内に包接された4,4′-DIPBの選択率は何れの触媒においても70-75%であり、反応は空孔内で進行することがわかった。なお、この際、包接された生成物中に未反応のビフェニルが大量に存在することから、反応はゼオライト空孔入り口から比較的近い酸点が触媒活性を担うことが示唆された。
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