天然由来、特に微生物由来の界面活性剤であるバイオサーファクタント(BS)は、高い界面活性・乳化能を有するだけでなく、生物由来であるため生分解性に優れた環境にやさしい界面活性剤である。また、抗菌活性のような特殊な機能を持つものもあり、これからも新たな機能が発掘される可能性を大いに秘めている。 我々は新機能を持つBSの単離・同定およびそのBS生産菌の単離を目的としてスクリーニングを行い、重油分離活性を有する水溶液サンプルから新たにBS生産菌、J株を分離した。本研究では、この単離株が生産するBSの精製および構造決定を行なった。J株の培養上清から限外ろ過濃縮、クロロホルム抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、およびHPLCによって界面活性を有する物質を精製した。単離BSのFAB-MSスペクトルを測定したところ質量数44間隔のピークが観察され、このBSが分子量44のユニットからなる繰り返し構造を有していることが考えられた。さらにUVスペクトル測定、^1H-NMR解析により、本BSがポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル構造を有することが示唆された。
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