研究概要 |
ラン藻(中温性ラン藻Synechococcus sp.PCC7942とSpirulina platensis,高温性ラン藻Synechococcus vulcanus)の3株と用い、白金塩(Pt(C1)_62^-)をラン藻に取り込ませ、ラン藻の電子伝達系を白金をハイブリッドさせたin vivoバイオ水素の生成システムを構築することを目的とした。得られた結果は以下のように要約できる。 1.調べた3株のラン藻のうち、S.Platensisのみに好気明条件でも、嫌気暗条件でも水素発生が認められた。 2.S.platensisの水素発生速度は好気明条件の方が大きかった。 3.S.Platensisは白金塩に対して最も感受性があり、43.8μg/mlで完全に増殖が停止した。これは細胞内に白金を取り込み易いことが原因と考えられる。 4.S.platensisはこれまで、白金塩無添加の嫌気暗条件でのみ水素発生が認められていたが、今回の実験で、白金塩添加の好気明条件下でも水素発生が確認された。しかし、この水素が水からの電子によるものかどうか不明で、今後DCMUなどの光合成電子伝達阻害剤を用いて調べていかなければならない。また、水素発生速度と酸素生成速度を測定し、その化学量論化を求めることや安定性や持続性を調べることが重要である。
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