研究概要 |
本課題では、非水電解質中でPCBを電気化学還元して無害化するプロセスを基礎的に検討した。この方法では、有機塩素化物は還元されてメタンなどの炭化水素に転換される。反応条件が穏和なので、ダイオキシンなどの副生成物を生じることがなく、また小型の装置で実行することが出来ため、実用化に有利と期待される。 前年に引き続き、PCBの炭素-塩素結合を切断して還元する反応を調べる目的で、クロロホルムの電解還元をアセトニトリル溶媒中で各種金属電極を用いて電気化学的測定を行った。反応生成物の分析は、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて行った。 各種の金属電極を用いて-2.5から-2.8V vs.Ag/Ag+の電位でマクロ電解を実施した。電解反応は、反応物質であるクロロホルムと水の輸送仮定が律速であることが分かった。そこで、アセトニトリル中に少量の水を添加すると、平均電流密度は顕著に増加し、200mA/cm^2に達する値が得られた。金属電極の電極触媒活性は大別して3種に分けられる。第1に、Ag,Znはクロロホルムをほぼ完全に還元して、メタンを生成させる。第2に、Ni,Fe,Sn,Tiは主としてジクロロメタンを生成させた。第3は両者の中間でCu,Pb,In,Pt,Auは、メタンとジクロロメタンの両者を生成させた。 本研究の成果として注目すべきことは、高い電流密度が得られることのほかに、副反応の水素発生は極めて少なく、これらのことから本研究をさらに発展させて、今後PCBの電解還元による無害化を実現する価値があることが明かとなった。
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