研究課題/領域番号 |
11875197
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
戸部 義人 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (60127264)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | アニオンレセプター / チオ尿素 / 分子認識 / センサー / ホストーゲスト化学 / ホスト-ゲスト化学 |
研究概要 |
水素結合を駆動力として溶液中でアニオン類と強く錯形成することのできる中性レセプター分子として、これまでシクロファン型、ラリアート型、およびクリプタンド型の環状チオ尿素誘導体を合成し、それらが極性有機溶媒中でリン酸モノアニオンを選択的に取り込むこと、さらに構造の次元性が高まると共に錯形成能が大きくなることを見いだしてきた。しかし、クリプタンド型化合物になると分子の配座変換が遅いため、NMRシグナルが幅広化し極性溶媒中での錯形成能の決定が困難であった。このため、クリプタンド型化合物と同様にアニオンを包み込むように錯形成し、脱溶媒和の効果が期待される分子として、6置換ベンゼンを核とする非環状チオ尿素を設計した。この分子は三ケ所のゲスト捕足部位をもつにも関わらずアニオンと1:1の錯形成をすることから、三つのチオ尿素基が協同的に作用してアニオンと錯形成していることがわかったが、錯形成能は環状分子の場合よりも小さいことがわかった。一方、チオ尿素基の酸性度を高めるため末端のベンゼン環上にニトロ基を導入したレセプターは、非常に大きな錯形成能とリン酸イオン選択性を示すことが明らかになった。この場合には、錯形成にともない黄色から赤色へ大きな色の変化観測されるので、オプティカルセンサーへの応用が考えられる。 次に、これらの化合物をポリ塩化ビニル(PVC)膜に分散させた電極膜を作成しイオン選択電極への応用を図ったが、いずれの場合も大きな膜電位応答は得られなかった。これは、バルク水中ではアニオンが強く水和されているため、上記のレセプターが高度な三次元構造を有しているにも関わらず、疎水性のPVC膜中にアニオンを取り込むことができなかったためと考えられる。そこで、アニオン結合部位を取り囲むような大きな疎水空間を有するレセプターとして、デンドリマー構造を有するチオ尿素を設計しその合成に取り組んでいる。
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