光応答性官能基含有ヌクレオチドの合成とそれを用いた光異性化反応とPCR法、in vitro転写法を用いてランダムオリゴマーの作製検討を行った。 まず、5-iodouridineに対してピリミジン環の5位にスペーサーとしてアリルアミン単位を導入し、その後アミド結合を介してアゾベンゼン単位を導入した。最後にリボースの1級水酸基を3リン酸化し、望む光応答性官能基含有ウリジン3リン酸(AzBn-UTP)を合成することができた。また同様の方法で光応答性官能基含有デオキシウリジン3リン酸(AzBn-dUTP)を合成した。 次に合成中間体として得ることのできるアゾベンゼン含有ウリジン1リン酸(AzBn-UMP)を用いて光異性化の検討を行った。通常ではアゾベンゼンはおよそトランス:シス=9:1の組成であったが、0.06mM(D_2O)スケールで375nmのUVを照射することによりおよそ90分でトランス:シス=2:8に異性化した。これはNMRとUVスペクトルの15分おきの経時変化から確認できた。 最後に、合成したAzBn-UTPを用いてin vitro転写を検討した。鋳型としてN50のランダムDNA配列を用い、T7、SP6、T3RNAポリメラーゼで各々検討したが、非天然であるAzBn-UTPは転写されなかった。現在より効率のよい転写条件を検討中である。またAzBn-dUTPの対してのPCR法への適用も検討中である。
|