研究概要 |
「完全人工授精法」開発の一環として、本年度は培養精巣での糖代謝について検討した結果およぴ精巣培養装置改良について報告する。 精巣培養系確立のため、昨年度試作した培養装置の改良を行った。基本的には昨年度開発した装置の空気サプライを穏やかなものに変更した。また,培養皿は6穴のディスポーサブル培養皿に変更した。培養液はGrace's culture mediumにグリコーゲンやEcdysteroidを添加した。培養装置全体を恒温培養器に導入し、精巣連続振とう培養実験を行った。全体的に装置やその運転は満足いく結果となった。昨年度のような機械的な刺激により精巣自体が損傷を受けることは解消できた。精巣皮膜をピンセットで破り,精巣内容物の培養を開始した結果,有核精子および無核精子が観察された。実験によって精子形成は変化していたが,一応培養条件下で精子形成に成功した。 昨年度の精巣糖代謝の実験結果を踏まえ,精巣グリコーゲン含量変化とトレハラーゼ活性やフォスフォリラーゼ活性を測定した結果,膜結合型トレハラーゼの存在が明らかとなった。フォスフォリラーゼについては,吐糸期から急激に活性は上昇しグリコーゲンの消長とほぼパラレルに活性は推移した。 培養実験や糖質・ECDYSTEROID・代謝酵素の消長実験の結果より,精子形成には脱皮ホルモンやグリコーゲンが関与していることが明らかとなった。
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