研究概要 |
平成12年度は白色レグホーン種系のイサホワイト、デカルブTX30,ジュリアなどの異なる系統を用いて、孵化後の成長に伴う各種粘膜付随リンパ組織の発達における品種間差異を、免疫組織化学的手法により比較検討した。孵化後の各時期において、各ニワトリの回腸パイエル板(PP)、盲腸扁桃(CT)、鼻腔周囲組織(NT)およびハーダー腺(HG)等のリンパ組織を採取し、T細胞サブセットの検出にはPLP液による固定後、凍結切片を作製し、免疫グロブリン(Ig)含有形質細胞の検出にはブアン固定後、パラフィン切片を作製し、それぞれニワトリIgA、IgM、IgGおよびCD3、CD4、CD8、TCRαβ、TCRγδに対する抗体を用いて免疫染色を行った。各ニワトリのNTとPP,CTにおいて、T細胞サブセットの方がIg含有形質細胞より数多く分布していたのに対し,HGの腺体間質部には各種Ig含有細胞が大部分を占めていた。20週齢以後、大部分の粘膜付随リンパ組織において、各種リンパ球がやや減少して幾分退化徴候を示したが、それらは成鶏でも存続していたのに対し、PPでは20週齢においてIg含有形質細胞の減少が顕著で、25週齢では大部分のものでIg含有形質細胞およびT細胞サブセットが完全に消失していた。さらに、デカルブTX30の各粘膜付随リンパ組織はジュリアに比べて発達が顕著で,T細胞サブセット,Ig含有形質細胞とも数多く存在しており,イサホワイトのものはそれらの中間型であった.特に,デカルブTX30では,PPおよびCTの発達が良好で,各免疫担当細胞の集積も極めて顕著であったことより、下部消化管における局所免疫機能が他の品種のものより発達していることが示唆された。このように,ニワトリの品種間で粘膜付随リンパ組織の発達が異なることが明らかになり,それらにおける局所免疫機構の差異が示唆された.
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