研究課題/領域番号 |
11877036
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
米澤 傑 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10175002)
|
研究分担者 |
高尾 尊身 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (80171411)
愛甲 孝 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60117471)
松下 能文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90244227)
|
研究期間 (年度) |
1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 膵嚢胞性腫瘍 / 膵管内乳頭腫瘍 / 胃型ムチン / 腸型ムチン / 膜型ムチン / 遺伝子発現 / 分子病理学 / 癌患者の予後 |
研究概要 |
(1)膵嚢胞性腫瘍は、嚢胞性病変の中に乳頭状発育がみられる膵管内乳頭腫瘍(IPMT)と、嚢胞部分が多房性の膵管拡張型粘液性嚢胞腫瘍(DMCT)に大きく分類されるが、手術前に得られた超音波診断やCT等の画像診断と、手術摘出標本を照らし合わせると、IPMTでは画像診断で嚢胞性突出物を認めるが、DMCTではそれが認められないという特徴があった。 (2)多数のIPMT症例を3亜型に分類して検索した結果、腸の絨毛腺種に似たVillous dark cell type ではMUC5AC(胃型)とMUC2(腸型)の双方の遺伝子発現がみられ、一方、胃表層粘膜細胞に似たPapillary clear cell typeと、細胞異型が高度の充実性胞体からなるCompact cell typeにおいては、MUC5ACが陽性で、MUC2が陰性というパターンがみられることを見い出し、論文として発表した。 (3)Villuos dark cell type16例のうち6例に粘膜癌の浸潤性増殖がみられた。非浸潤性の本体部分ではMUC1(膜型)はみられなかったが、浸潤部では6例全例にMUC1の発現がみられた。MUC1が発現する粘膜癌を持つ症例に死亡例がみられることも明らかにした。 (4)細胞異型の強いCompact cell typeでは、浸潤部のみでなく、腫瘍本体でもMUC1が高率に発現する。縮小手術では再発例があり、IPMTでもこのタイプには縮小手術は不十分であることが判明した。 (5)Papillary clear cell typeにおいては、糖側鎖の多い成熟型MUC1が一部の症例に発現していたが、このタイプは予後良好で、成熟型MUC1が発現しても予後不良にならない理由はまだ不明である。 (6)DMCTも、MUC5ACが陽性でMUC2が陰性という遺伝子発現様式であった。MUC1コア蛋白が陰性であるのに対し、成熟型MUC1はかなりの症例での陽性であったが、検索例全例が生存しており、MUC1の糖側鎖の結合状況と腫瘍の生物学的悪性度との関連は今後の検討課題である。 (7)切除断端決定のための凍結切片による術中迅速診断標本を、術中診断後に固定してパラフィン切片とし、切除断端におけるムチン抗原の発現を検索して、術後再発との関連性の検討を開始した。
|