研究課題/領域番号 |
11877106
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
北島 勲 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (50214797)
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研究分担者 |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20082282)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | mRNA Differential Display / 宇宙飛行 / 無重力 / 筋萎縮 / 脊椎柱筋 / ヒートショック蛋白 / 筋アルドラーゼ / Myocyte Enhancer factor 2C |
研究概要 |
米国航空宇宙局(NASA)よりスペースシャトルコロンビアに14日間搭乗させた8週齢ラットとその地上対照ラットの傍脊柱筋を病理学的に検討した結果、宇宙飛行によりタイプ1筋萎縮が生じていることが判明した。そこで各筋肉よりmRNAを抽出しcDNAを合成後、Differential Display法を施行した。PCR産物をアクリルアミドゲルに展開し、両者間で発現差が認められたバンドを切り出し塩基配列を決定した。その結果、46個の遺伝子が単離され、各遺伝子のホモロジー検索を行った。100%ホモロジーが一致したもので、宇宙飛行ラット筋で発現が上昇する遺伝子としてチトクロームCなどミトコンドリア酵素関連遺伝子、ヒートショク蛋白(HSP72)、HSP72関連蛋白が検索された。一方、宇宙飛行ラット筋で発現が低下する遺伝子群として、筋肉構成蛋白の筋アンキリン、筋アルドラーゼ、さらにMyocyte Enhacer Factor-2C(MEF2C)等が判明した。これらの遺伝子発現変化は、これら遺伝子をプローブとして再度宇宙飛行ラット筋と地上対照ラット筋間mRNAでノーザンブロットを行い確認した。さらに転写因子であるMEF2Cは宇宙飛行筋と地上対照筋組織より核蛋白を抽出しゲルシフトアッセイにて蛋白レベルでの発現差を明らかにした。 以上の結果をまとめると、宇宙飛行ラットに生じるタイプI萎縮筋では、筋成熟に関与するMEF2C発現が抑制され、結果的にこの遺伝子がプロモーターとして作用する筋アルドラーゼや筋アルキリンの発現抑制が生じたと解釈できた。一方、無重力というストレスに応答する遺伝子群と萎縮筋に反応してATP産生能を高めようするミトコンドリア代謝酵素遺伝子群の発現亢進も生じることが明らかになった。次に無重力に応答する筋萎縮にはMEF2Cが重要な役割を果たすと考え、ラットMEF2CcDNA全長をクローニングし発現ベクターを作成した。現在この発現ベクターをラット未分化間葉系細胞とラットと筋芽細胞に導入しその機能解析を行っている。また、今回、今までに報告のない未知の遺伝子が2つ検出された。現在全長cDNAのクローニングとその機能解析も行っている。
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