脂質が血管に豊富な組織であることより、血管内皮細胞の遊走活性を指標に、脂質に存在する血管新生誘導因子を検索してきた。大綱組織をメタノ-ル抽出した分画に血管内皮細胞遊走活性を認め、4段階の精製の結果、その遊走活性の本体がphosphatidyl ethanolamine(PE)であることがわかった。 この結果を受けて、各種リン脂質の内皮細胞遊走活性に及ぼす効果を検討するとPEの他phosphatidyl serine(PS)にも活性を認め、phosphatidyl chorine(PC)には活性を認めなかった。 さらに大網を水抽出した場合にはTLCの移動度がPEとPSの間にも強い遊走活性を認め、この分画活性をまず精製することにした。順相カラム、TLCを組み合わせ、その後逆相カラムで精製に成功した。この純品をMRlおよび質料分析装置で検討した結果、この物質はphosphatidyl glycerol(PG)と同定できた。 PE、PS、PGを用いて遊走活性に対する各種細胞内情報伝達系のブロッカ-を用いて検討した結果、この遊走活性はPKC依存性であることが分かった。 これらの結果を基に、PS、PE、PG結合蛋白へクロ-ニングを行う。
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