研究概要 |
Hanganutziu-Deicher 抗原(H-D抗原)はN-グリコリル型のシアル酸のことで、ブタには存在するがヒトと鳥類には存在しない抗原である。Α-galactocyl 抗原の問題解決後、もっとも問題になると考えられている。 ブタの血管内皮(MYP30)を用意し、H-D抗原の発現の程度をFACSで確かめた。つぎに糖転移酵素(α2,3Sialyl transferase:α2,3ST、 α2,6Sialyl transferase:α2,6ST、 β1,4N-acetylglucosaminyltransferaseIII:GnT-III α1,2Fucosyl transferase:α1,2FT)の遺伝子を発現ベクター(pCAGGS)に組み込み、lipofection法によりtransfectionし、neomycineによりselectionすることで、さまざまなブタの血管内皮のlineを得た。 つぎに、これらの糖転移酵素の過剰発現により、このH-D抗原を抑制可能かどうかを、ニワトリの抗体を用いFACSにて、そのmean shift 値の変かを調べた。 1. GnT-IIIを transfection した3つのcloneのうち,A-3,C-17ではH-D抗原の発現量に明らかな変かはなかったが、高発現のA-1ではその発現量はあきらかに低下した。 2. α2,3STでは、かえってH-D抗原の発現量は増加していた。 3. α2,6STでは、H-D抗原の発現量に明らかな変かは認められなかった。 4. α1,2FTでも、かえってH-D抗原の発現量は増加していた。 これにより、GnT-IIIによるH-D抗原抑制の可能性が示唆された。
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