研究課題/領域番号 |
11877247
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 栄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282661)
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研究分担者 |
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
織田 弘美 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60101698)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 破骨細胞 / Ras / ERK / IKK / NF-κB / 酵母two-hybrid法 / c-Src |
研究概要 |
破骨細胞は骨吸収を中心的に担う細胞であり、正常な骨モデリング・リモデリングのみならず、骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、あるいは癌骨転移など整形外科疾患のさまざまなアスペクトにおいて重要な役割を果たすことが明らかになっている。したがって破骨細胞の骨吸収メカニズムを分子レベルで明らかにすることによってこれらの疾患の新しい治療法を確立することが可能であると考えられる。Ras-ERK系およびIKK-NFкB系は様々な細胞の増殖、分化において重要な役割を果たしていることが明らかになっているが破骨細胞における役割は明らかではない。われわれはアデノウイルスベクターが破骨細胞への遺伝子導入法として極めて有用であることを明らかにした(Tanaka et al.,1998)。アデノウイルスベクターを用いて破骨細胞におけるRas-ERK系およびIKK-NFкB系の役割を検討した。ドミナントネガティブ型のRas遺伝子(Ras^<DN>)、恒常活性型のMEK1遺伝子(MEK^<CA>)、ドミナントネガティブ型IKK2(IKK^<DN>)そして恒常活性型IKK2遺伝子(IKK^<CA>)組み込んだアデノウイルスベクターを作成し、これらをマウス破骨細胞様細胞に感染させることによって破骨細胞のRas-ERK系、IKK-NFкB系をネガティブに、あるいはポジティブに調節することが可能であった。Ras^<DN>の導入によって破骨細胞は速やかに細胞死に陥った。この時の破骨細胞の細胞死はアポトーシスであることがTUNEL染色、DNA ladder形成から明らかになった。一方MEK^<CA>導入によって破骨細胞の生存期間は著明に延長した。これらの結果はRas-ERK系が破骨細胞の細胞死の調節に重要な役割を果たしていることを示唆している。またドミナントネガティブ型IKK2、恒常活性型IKK2遺伝子の導入によって破骨細胞の生存は変化しなかったが、その骨吸収能は負に、あるいは正に調節された。このことからIKK-NFκB系は破骨細胞の活性化に関与していることが考えられた。今後われわれの開発したシステムを応用することによって破骨細胞の生存、活性化の分子メカニズムがさらに詳細に明らかになることが期待される。
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