研究概要 |
これまでに我々はhuman Angiopoietin-1,2に対するRabbit-PoAb(Anti serum)を作成しヒト腎癌組織中のそれぞれの因子の発現バランスを蛋白質レベルで検討してきた.同時にmRNAレベルでの発現もQuantitativeRT-PCRにて検討した.この結果,これらの因子とヒト腎癌の悪性度,血管密度,腫瘍径との間にある程度の相関が見られることがわかったが特徴的な知見は得られなかった(ただし転移の有無との関係は適当なサンプルが入手できなかったため検討できていない).この間に様々な報告がなされてきたが次第にAngiopoietinは血管新生だけでなく血管壁の安定性に関与している可能性が指摘されるようになった.そこで腫瘍血管新生そのものより血管壁構造と腫瘍転移との関係に興味が移行しこれを解明するためにまず腫瘍転移モデルの作成にとりかかった.in vivoでは腎癌肺転移モデルの作成を試みた.マウスはBALB/cAヌードマウスを使用,腎癌細胞はSN12PM6 renal cell carcinoma cell line(Rakesh K.etal,1994;Am J Pathol,145:365-374)を使用した.癌細胞を移植後,1週間ごとにヌードマウスを屠殺し原発巣の賢癌組織,血清を採取し,これをmicroscopicにmetastasisが確認できるまで行った.結果としては移植後10-12週でmicroscopicにmetastasisが確認された.現在までに各週で最低5匹以上のサンプルが得られており腫瘍転移におけるangiopoietinの生物学的特性について検討中である.
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