研究概要 |
1 ヒトパピローマウイルス(HPV)が口腔疾患にどのぐらい関与しているかを知るために111例の検体についてSouthernプロットハイブリダイゼーション、PCR法でL1C1/L1C2とL1C/L1C2mプライマーを用いて検討した。病変は扁平上皮癌30例、白板症34例、乳頭腫9例、線維性ポリープ6例、エプーリス6例、正常は14例である。HPVは扁平上皮癌19.4%、白板症では20.6%であり、タイプとしては18型か88.5%で最も多く、またこれまで口腔病変では知られていない70型が新たに発見された。(Oral Med Pathol 1999;4:17-23) 2 扁平上皮癌80例、白板症26例、白板症中の初期癌10例を用い、TGF-β1、TGF-βRI、TGF-βRIIについて免疫組織化学、免疫電顕学的検索を行った。浸潤癌のTGF-β1は白板症および初期癌よりも強くみられた。一方、浸潤癌のTGF-βRI、TGF-βRIIは白板症と比べると、著明に減少した。初期癌ではTGF-β1の増加は認められなかったが、TGF-βRI、TGF-βRIIの減少がみられた。(Oral Med Pathol.4:55-61,1999.) 3 日本人のもつウイルス関連胃癌におけるEB-ウイルスのLMp2A遺伝子の発現とエクソン2.6.のシークエンス解析を行った。その結果塩基配列の突然変異が10個にみられ、そのアミノ酸レベルの変異は3つあった。特にコドン3と8の突然変異はセリンをスレオニンに変えるもので、これはEBVに特異的な細胞傷害性Tリンパ球結合エピトーブに関するものであった。(Virus Genes 19:2,103-111,1999)
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