研究概要 |
顔面片側萎縮症や小下顎症等の,先天的・後天的顎顔面疾患に対して,骨延長術が臨床上有効な手段と考えられているが,この治療法は臨床先行型で,その基礎的研究は遅れているのが現状である。 このため,骨延長術を安全そして,確実に行うための生体力学的研究を行った。 1)有限要素解析のためのモデルの形成 CTデータからワークステーション(NSSUN spark10)を用いて,頭蓋顔面からのソリッドモデルを作製し,パーソナルコンピュータを用いて,有限要素解析のためのデータフォーマットヘ変換し,三次元有限要素解析モデルを作製することができた。 2)有限要素モデルからの骨延長に関わる応力解析 モデル化した下顎骨に臨床で用いられている骨延長装置を装着し,横川技術情報社のCOSMOS/FFE有限要素解析システムを用いて,骨片および骨延長装置および装置を固定する骨釘の力学的解析を行った。また,骨切り線により骨片の移動方向の違いについても考慮した。この際,骨延長装置のシリンダーの材質,形状,大きさ,骨釘の植立位置,数,形状について検討し,日本人口腔内に適合する骨延長装置を試作(岡山市ナカシマプロペラ株式会社)した。 3)骨延長におけるシュミレーション 医療用3次元可視化ソフトウェア(クボタ、AVS)を用いて骨延長手術において骨延長の方向,装置の装着部位の決定が行えるシミュレーションができるように,AVS内でのモデル構築のための輪郭の抽出条件,CT値の決定,CT撮影条件の設定などの基礎的条件を検討した。
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